2024年問題でドライバー不足への対応を余儀なくされている昨今、物流業界における「庫内作業員の人手不足」も依然として深刻な課題であると認識しています。 しかし、外国人雇用において、この状況を大きく変える可能性のある制度改正があります。
2026年1月23日の閣議決定により、ついに「物流倉庫関連業務」が外国人材受け入れ制度(育成就労・特定技能)の正式な対象分野として追加されることが決定しました。その後、2026年6月26日には具体的な受入要件を定めた告示(国土交通省告示第787号・第788号)が正式に公布され、制度の詳細が確定しています。
今回の決定で特筆すべきは、これまで「留学生アルバイト」などの短期・短時間労働に頼らざるを得なかった現場が、「フルタイムの正社員」として外国人を雇用できるようになった点です。
本記事では、今回の決定の概要と要件、そして「制度開始前の今からでも雇用をスタートできる」スキームについて解説します。

これまでの倉庫現場における外国人雇用は、主に「留学生(資格外活動)」が中心でした。しかし、彼らの雇用には法的な制約があり、現場管理者の皆様は多くの悩みを抱えていたのではないでしょうか。
・労働時間の壁: 「週28時間以内」という法律の壁があり、繁忙期でも長時間働いてもらえない。
・卒業の壁: 仕事を覚えて戦力になった頃に、卒業・就職で辞めてしまう(定着しない)。
・シフト管理の負担: 学生の本分は学業のため、テスト期間などでシフトが不安定になりがち。
今回の解禁により、これらの悩みが根本から解消されます。 「育成就労」や「特定技能」で採用する人材は、日本人と同様に「フルタイム(週40時間〜)」での就労が可能であり、数年単位での長期就労が前提の在留資格です。
「今日来てくれるか分からないアルバイト」ではなく、「責任を持って現場を回してくれる正社員」として外国人を迎え入れることができる。これが今回の改正がもたらす最大のメリットです。

これまでも工場の倉庫などで外国人が働くケースはありましたが、制度上の扱いは大きく異なります。
これまでは、製造業の一部としての「梱包」などは認められていましたが、純粋な物流倉庫におけるピッキング、仕分け、検品などの一連の業務が、新制度である「育成就労」および「特定技能」の対象として広く認められることになります。
▼ 何が変わったのか?
・対象業務: 倉庫内でのピッキング、仕分け、梱包、検品、在庫管理、積卸し作業、流通加工など
・対象制度:
ー育成就労(未経験からの育成枠/原則3年)
ー特定技能(即戦力枠/通算5年~)
これにより、製造工程を持たない純粋な倉庫業や、運送会社の倉庫部門でも、正面から「物流人材」として外国人を雇用できるようになります。
育成就労の制度に関する記事はこちら↓

育成就労制度とは?受け入れ企業向けにわかりやすく解説
2027年4月より、技能実習制度に代わり 育成就労制度 が日本でスタートします。育成就労制度は、単な...

今回の制度改正では、受け入れ可能な企業の範囲として、以下のいずれかに該当し、適切な事業を行っている企業が対象となります。
①倉庫業者(倉庫業法の登録を受けている事業者)
②上記事業者から業務委託を受けている事業者(倉庫内作業を請け負っている構内荷役会社など)
③貨物自動車運送事業者(トラック運送業の許可を持ち、運送に付随して倉庫業務を行う事業者)
自社倉庫を持つ運送会社はもちろん、荷主や倉庫会社から庫内作業を請け負っている物流子会社やパートナー企業も対象に含まれる見込みです。

受け入れ企業には、単なる労働力の補充ではなく、生産性向上に取り組む姿勢が求められます。特に重要なのが「DX・システムの利活用」です。
物流分野での外国人受け入れにおいては、業務の効率化・合理化を図るためのシステムを導入・利用していることが要件となります。
「人海戦術」のみに頼るのではなく、「システム×人材」で生産性を高める体制があるかどうかが、受け入れ可否の重要なポイントとなります。
2026年6月26日付で公布された分野別上乗せ基準(国土交通省告示)では、この「システム活用」要件がより具体的に定められています。
求められるのは、大きく分けて以下の2点です。
①入出庫・在庫管理システムの利活用
入庫・保管・出庫といった庫内業務全体を管理する情報システムを導入し、実際に利活用していることが要件となります。
②生産性・労働安全衛生向上機器/システムの継続利用
①のシステムと連携した、生産性向上または労働安全衛生の向上に資する機器・システムを導入し、継続的に利用することも求められます。加えて、分野別協議会への加入から1年以内に、その利用状況を協議会へ報告する義務があります。
つまり「システムを入れて終わり」ではなく、導入後の運用実態を1年以内に協議会へ報告するところまでが要件に含まれている点が、今回の告示で明確になったポイントです。


ここまで倉庫事業者向けの制度概要を解説しましたが、運送事業も行っている企業様には、今回の解禁を機に検討いただきたい「新しい採用モデル」を紹介します。
弊社は2023年の特定技能ドライバー解禁後より、ドライバー特化型の人材支援を行ってきましたが、やはり「いきなり外国人にトラックを任せるのは不安(事故・コスト面)」というお声は少なくありません。
そこで弊社は、「まずは倉庫人材として採用し、適性を見てドライバーへステップアップさせる」というキャリアプランを推奨します。
倉庫からドライバーに登用する方法の解説はこちら↓

運送業の外国人採用は倉庫から|育成就労・特定技能でドライバー登用する方法を解説
2026年1月、外国人材の受入れ制度に関する制度改正により、これまで運送分野ではドライバー職のみが対...
①リスクの低減と適性見極め
いきなり高額な免許取得費用をかけるのではなく、まずは倉庫業務(育成就労など)に従事してもらいます。遅刻をしないか、真面目か、日本語能力の上達具合、荷扱いになれたかなど、「人柄やスキル」を見てからドライバーへの登用を判断できます。
②「荷物がわかる」ドライバーの育成
倉庫でピッキングや積付を経験した人材は、荷扱いの重要性を肌で知っています。ドライバーになった際も、破損事故の少ない質の高い乗務員になります。
③外国人材の定着率向上
「今は倉庫作業だが、頑張って日本語とスキルを身につければ、より給与の高いドライバーになれる(特定技能・自動車運送業へ移行)」という明確なキャリアパスがあることは、本人のモチベーションを高め、離職を防ぐ大きな要因になります。

制度の全体像をご説明しましたが、詳しい方であれば「開始時期」について疑問を持たれるかもしれません。
制度上、「育成就労制度」の本格施行は2027年4月を予定しており、また「特定技能」での受け入れにも専用の評価試験(試験作成・運用開始)を待つ必要があります。 「では、実際に雇用できるのは1年以上先なのか?」と思われるかもしれませんが、答えはNOです。
弊社では、制度の本格開始を待たずに、今すぐ倉庫人材の雇用を開始できるスキームが提案可能です。
・現行制度を活用したブリッジ雇用
・2027年の制度開始と同時に「特定技能」へスムーズに移行させる準備プラン
これらを活用することで、他社が「試験の開始」を待っている間に、貴社はいち早く優秀な人材を確保し、現場教育をスタートさせることができます。 制度が始まってから動くのでは、人材獲得競争に巻き込まれる可能性があるため、「先行者利益」を得るなら、今から動き始めることをおすすめします。
2026年の制度改正は、物流倉庫にとって「留学生アルバイト頼み」から脱却し、「長期安定就労の正社員」を確保する絶好のチャンスです。 さらに、倉庫と運送の両方を持つ企業にとっては、「倉庫で育てて、ドライバーへ」という人材育成サイクルを作る機会でもあります。
「制度開始を待たずに、今すぐ雇用できる方法を知りたい」
「倉庫からドライバーへの育成プランについて相談したい」
弊社はドライバー教育・紹介の専門ノウハウを活かし、今回の「倉庫人材」の先行受け入れから、その先のキャリア設計まで一貫してサポートいたします。 具体的なスキームや、貴社に合った採用プランについては、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼ こんなお悩みありませんか?
▼ この記事を書いた人 ▼

ベトナムにて日系大手広域運送会社の事業統合(PMI)や労務・進出支援に従事。海外現地の組織管理から経営企画まで一貫して経験し、2023年に株式会社ニホントを設立。
海外拠点での統合実務と経営視点を掛け合わせた「外国人採用の仕組み化」を専門としています。単なる紹介に留まらない、持続可能な体制構築を多角的に支援します。
旅行、ツーリングが趣味。全国のご相談にフットワーク軽く対応します。