特定技能人材の雇用を検討する際、多くの企業が最初にぶつかる壁が「すでに日本国内にいる外国人を採用するか」もしくは「海外にいる外国人を新しく呼び寄せるか」という問題です。
「国内なら即戦力になりそう」「海外からだと時間がかかるのでは?」など、色々なイメージがあると思いますが、実はそれぞれに明確なメリット・デメリットが存在します。
本記事では、一般的な傾向に加え、現場のリアルな声(長年外国人採用に携わってきた筆者の少し偏見や主観も含まれます!笑)を交えて、パターン別に赤裸々に解説していきます。「自社に合うのはどのパターンか」ぜひ考えながら読んでみてください。
まずは、すでに日本国内に住んでいる人材を採用するケースです。大きく4つのパターンに分かれます。
おすすめ度:★★☆☆☆(※給与・条件の良い都市部の会社なら★★★★☆)

他社ですでに特定技能として働いていた人材を採用するパターンです。
こんな会社におすすめ!
・給与や待遇、福利厚生に絶対の自信がある企業
・都市部に勤務地がある企業
・同職種での「即戦力」を今すぐ求めている企業
【メリット】
最大の魅力は、すでに日本の生活や特定技能としての働き方に慣れているため、生活面のギャップが少ないことです。同職種での転職であれば、研修期間も短く、すぐに戦力として期待できます。また、海外から呼ぶよりも面接から就業までのスピードが速いのも特徴です。
【デメリット】
日本の環境に慣れている分、給与や待遇に対する要求水準が高くなりがちです。また、「地方から都市部へ」という転職動機が非常に多いため、地方企業での採用には不向きです。 さらに、特定技能1号はトータルで「最長5年」しか働けないため、前職での期間を差し引くと、自社で働ける期間が短くなってしまいます。転職のノウハウも知っているため、「より良い条件があればまた転職する」という再転職リスクが常につきまといます。 なにより、タイミング良く自社の条件に合う人が見つかるかどうかは運要素が強すぎるため、計画的な採用には向きません。
おすすめ度:★★★☆☆ (①よりはおすすめ)

技能実習(3年〜5年)を無事に満了し、特定技能に切り替えるタイミングで自社に転職してくるパターンです。
こんな会社におすすめ!
・就労意欲が高い人材を採用したい企業
・即戦力とまではいかなくても、日本の現場の基礎が分かっている人材が欲しい企業
【メリット】
①と同様に生活のギャップが少なく、さらに「技能実習という厳しい環境を3〜5年やり遂げた」という就労意欲の高さが魅力です。特に建築系などハードな現場を乗り越えてきた候補者は、少々のことではへこたれず、長く働いてくれる可能性が高まります。特定技能になるための試験が免除されるケース※も多く、手続きも比較的スムーズです。
※技能実習2号満了時に日本語テスト(N4もしくはJFT A2)の免除、また職種により技能評価試験の免除
【デメリット】
①ほどではありませんが、やはり「地方から都市部へ行きたい」という需要は目立ちます。また、長年同じ作業をしてきた工場系などの場合、新しい職場のやり方(他職種への転職)に順応しづらいケースもあり少し注意が必要です。言語力は海外から来る人材よりは少し高い程度。こちらもタイミング良く見つかるかは運次第なので、計画採用には不向きです。
おすすめ度:★★☆☆☆

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザや、家族滞在、永住者などから特定技能の現場へやってくるパターンです。
こんな会社におすすめ!
・たまたま良い出会いがあった時に、人物重視で柔軟に採用できる企業
【メリット】
長く日本に住んでいるケースが多く、日本語能力が非常に高かったり、日本の運転免許などの資格を保有していたりするため、書類上はとても魅力的に映ります。
【デメリット】
最近、技人国ビザの審査が厳しくなった影響でこの層からの転職希望者が増えていますが、正直なところ、あまりおすすめできません。 ストレートに言ってしまうと、転職回数が異様に多かったり、生活基盤が不安定だったりするケースが散見されます。長く日本にいる分、楽な働き方を覚えてしまっている(少し怠け癖がついてしまっている)人も多いため、定着率や勤務態度に課題が残るリスクがあります。また、市場にほとんどいない「レアキャラ」なため、これを狙って採用活動をするのは無謀です。
おすすめ度:★★★★☆

日本の日本語学校や専門学校を卒業する留学生を、特定技能として採用するパターンです。最近、特定技能コースを設ける学校も増えてきており、注目のルートです。
こんな会社におすすめ!
・とにかく「日本語でのコミュニケーション力」を重視する企業
・新卒のように、ゼロから自社のやり方で育てていきたい企業
・4月入社に合わせて教育体制を組める企業
【メリット】
言語力は最低でもN3レベルと、他ルートに比べて圧倒的に高い傾向にあります。専門学校で特定のスキルを学んできている子もいます。卒業のタイミング(基本は4月)での就労開始となるため、「いつ入社するか」の計算がしやすく、若くてポテンシャルのある人材を「新卒」として迎え入れることができます。
【デメリット】
学費の高い学校に通える=比較的裕福な家庭で育っていることが多く、少しわがままな傾向(ハングリー精神がやや薄い)が見られることも。また、社会人経験がないため、ビジネスマナーから仕事の進め方まで教える「手間」はかかります。就労開始がほぼ4月に限定されるため、時期の融通が利かない点もネックです。
おすすめ度:★★★★☆(※計画採用・複数採用なら文句なしの★★★★★)

現地の送り出し機関等を通じて、海外にいる人材と面接し、日本へ呼び寄せるパターンです。
こんな会社におすすめ!
・「〇月に〇人欲しい」と計画的に採用を進めたい企業
・まとまった人数の採用を検討している企業
・地方にあり、給与などの待遇面で都市部と勝負しづらい企業
【メリット】
最大の強みは「計画的な採用が最もコントロールしやすい点」です。一度にまとまった人数を採用する場合、「海外一強」と言っても過言ではありません。 また、生活を豊かにするために日本へ出稼ぎに来るため、非常にハングリー精神があり、頑張ろうという意識が高いです。「都市部に行きたい」「もっと給料が高いところへ」といった国内人材特有のノイズを知らないため、地方の企業であっても安心して採用できます。 「最初の会社でしっかり頑張る!」という教育を受けてきているため転職率も低く、特定技能の期間をまるまる5年間、フルで働いてくれるのは企業にとって大きなリターンです。現地での就労経験もある程度企業側で選ぶこともできます。
【デメリット】
日本に来るのが初めてなため、どうしても言語力は国内人材に比べて低くなる傾向があります。そのため、入社当初の教育期間や生活サポートの手間はかかります。しかし、5年間しっかり定着して働いてくれることを考えれば、そのコストは十分に相殺可能です。 また、国ごとの経済状況による将来的な不安(ベトナムはすでに来日需要が低下気味で、インドネシアやフィリピンも国の経済成長が著しいため将来どうなるか不透明)というカントリーリスクはゼロではありません。
特定技能人材の採用は、「戦力となるスピードを重視するか」「定着率と計画性を重視するか」で選ぶべきルートが全く変わってきます。
・給与に自信があり、今すぐ即戦力が欲しい! → ①特定技能からの転職
・現場の根性重視! → ②技能実習からの転職
・日本語力重視でゼロから育てたい! → ④留学生の採用
・地方で定着してほしい!複数人を計画的に採用したい! → 海外からの採用
どれが正解というわけではなく、会社の現在の状況、社風、教育体制、そして勤務地によって最適な方法は異なります。
「うちの会社の場合はどれが良いんだろう?」「海外人材の教育って実際どれくらい大変なの?」と迷われたら、ぜひお気軽に弊社にご相談ください! あなたの会社の風土や課題にしっかりと寄り添い、綺麗事だけではない「リアルな視点」で、最適な採用プランをご提案させていただきます。