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【コラム】外国人ドライバーに必要な「日本語力」は?N4合格の目安とレベル

2025/12/19

ドライバー不足が深刻化する中、特定技能制度の自動車運送業への分野追加により、外国人ドライバーの採用が現実的な選択肢となってきました。

しかし、採用担当者が懸念されるのは「運行管理者の指示は伝わるのか?」「緊急時の対応は大丈夫か?」などの「日本語力」ではないでしょうか。

今回は、特定技能の要件でもあり、外国人ドライバー採用のベースラインとなる「JLPT(日本語能力試験)N4」レベルの実力と、現場で活かすためのポイントを解説します。

そもそも「N4」とはどのくらいのレベルか?

日本語能力試験(JLPT)はN1からN5までの5段階があります。N4はその下から2番目のレベルにあたりますが、決して低いレベルではありません。

公式の定義では「基本的な日本語を理解することができる」とされています。

【N4レベルの合格目安イメージ】
・語彙数: 約1,500語(日常生活で使う基本的な単語)
・漢字: 約300字(基本的な読み書き)
・会話: ゆっくり話せば、身近な話題の内容がほぼ理解できる。

N4レベルで「できること」「難しいこと・工夫が必要なこと」

1. N4レベルで「できること」

・点呼・報告:「おはようございます」「アルコールチェックOKです」「配送完了しました」などの定型報告。
・ナビ・標識の理解:「右折」「左折」「止まれ」「工事中」「高さ制限」などの道路標識やナビ音声の理解。
・簡単な指示受け:「先にA社に行って、そのあとB社に行ってください」といった簡単な指示。
・トラブルの一報:「事故をしました」「パンクしました」といった事実を伝えること。

2. N4レベルで「難しいこと・工夫が必要なこと」

・トラブル・交渉:事故の過失割合に関する口論や、納品先でのイレギュラーな対応などは困難。
・早口・方言の理解:現場特有の略語や、強い方言、早口での指示は聞き取れません。
・手書きの崩し字・難しい漢字:伝票の乱雑な手書き文字や、難しい漢字の読み取り。

N4レベルの外国人ドライバーを雇用するにあたって企業側ができること

「N4では難しい」と切り捨てるのではなく、企業側の「受け入れ体制(歩み寄り)」があれば、N4レベルの外国人ドライバーは十分な戦力になります。

1. やさしい日本語を使う

子どもに話しかけるような話し方ではなく、「短く・はっきり・簡単な単語」を話す技術です。

×「あそこを通るのは推奨していないから迂回して戻って」
○「この道は狭いです。入らないでください。危険です。」

×「到着する手前で先方に一本連絡入れておいて」
○「到着する10分前に、お客さんに電話してください」

2. 視覚情報の活用

機器の扱い方やルートの説明は、口頭だけでなく、写真やチャット、地図アプリのスクリーンショットを活用する。写真や絵を多く用いたマニュアルを作成するのも有効だと思います。

3. 翻訳ツールの導入

最近の翻訳アプリ(Google翻訳、chatGPTなど)は非常に高性能です。複雑なトラブル時や、ニュアンスを伝えたい時のために、業務用スマホに標準装備しておきましょう。

同じ「N4レベル」でも中身は別物?

1点注意が必要なのは「N4レベルであれば、どの紹介会社から採用しても同じ」というわけではないという点です。

実情として、日本語教育の量や質には大きなバラつきがあります。「試験に合格させること」だけをゴールにしている企業もあれば、「入社後の活躍」を見据えて教育している企業もあるため、パートナーとなる紹介会社の選定は非常に重要です。

弊社では、一般的なN4レベルの日本語教育に加え、企業様ごとに異なる「実務で多用する単語・専門用語」を事前に教育する独自のカリキュラムを導入し、社内用語や専門用語、地名などを配属前にインプットすることで、入社初日からスムーズな連携を可能にします。また、視覚情報も織り交ぜた、母国語での外国人向けマニュアルの作成も承っております。

まとめ

物流業界において、N4は「安全教育や業務指示を理解できる最低ライン」です。

N4を取得している人材は、少なくとも「数百時間の日本語学習を継続できた勤勉さ」を持っています。その勤勉さは、安全運転や業務の正確性にも通じると考えています。

「完璧な日本語」を求めて採用機会を逃すより、「N4レベル+学習意欲」のある人材を採用し、現場でのコミュニケーションを通じて育てていく。 それが、これからの物流業界を生き抜くための現実的かつ賢い採用戦略ではないでしょうか。

「外国人の採用には興味があるが、やはり言葉の壁が不安だ」 「現場の負担を少しでも減らして採用したい」などをお考えの採用担当者様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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