2026年1月、外国人材の受入れ制度に関する制度改正により、これまで運送分野ではドライバー職のみが対象であった枠組みに加え、倉庫業務においても、育成就労および特定技能で外国人材を受け入れられる方向性が示されました。
これにより、運送業・物流業界における外国人採用は、「いきなりドライバーとして採用する」だけではなく、倉庫業務から受け入れ、育成しながらドライバーへ登用するという、現実的な選択肢が広がっています。
これまで、運送分野において外国人材が特定技能で就労できる職種は、原則としてドライバー職に限られていました。
今回の制度改正により、倉庫業務においても「育成就労」「特定技能」での受入れが可能となる見込みです。
※物流倉庫「育成就労」と「特定技能」はこちらのコラムで詳しく解説しています。
倉庫業務は、
・業務内容が比較的標準化されている
・現場マニュアルを整備しやすい
・高度な日本語能力を前提としない業務も多い
といった特性があり、外国人材を初めて受け入れる企業にとっても、導入しやすい業務領域と言えます。
今後、現実的に想定されるモデルは、以下のような流れです。
① 倉庫作業員として受入れ
育成就労または特定技能で倉庫業務に従事
② 倉庫現場でのOJTと教育を通じて育成
日本語能力、物流業務の基礎、安全意識などを段階的に習得
③ 倉庫業務に十分習熟し、適性が確認できた人材を選抜
④ ドライバー職へのステップアップを見据えた育成へ移行
⑤ 要件を満たした段階で、ドライバー分野の特定技能へ移行
このように、倉庫で育成し、適性を見極めたうえでドライバーへ登用するという流れが現実的に構築できるようになります。
もちろん、倉庫で育成し、そのまま倉庫人材として活躍いただくことも可能です。

倉庫業務に就かせるだけでは、将来的なドライバー登用にはつながりません。
企業側が意図的に育成設計を行うことが重要です。
・業務で使う日本語(指示語、数量、設備名称など)
・朝礼・終礼を活用した簡単なロールプレイ
・外部教材や研修の併用
現場任せにせず、会社として学習機会を設けることが成長速度を大きく左右します。
・荷扱いの基本
・検品・仕分け・保管ルール
・伝票、顧客名、地名の理解
・物流現場における品質・安全ルール
ドライバー業務と共通する基礎知識を、倉庫業務の中で身につけさせることが重要です。
・安全意識
・顧客対応の基本
・運行前後点検の考え方
・道路標識やルート理解の基礎
倉庫在籍中から段階的に座学を取り入れることで、ドライバー教育への移行がスムーズになります。
なお、実務上は、業務時間内外の学習設計を含め、一定程度会社が関与して育成を進める体制を整えなければ、計画通りの成長は期待できません。

今回の「倉庫 → ドライバー」育成スキームの中核となる育成就労制度は、2027年4月からの開始予定です。
一方で、育成就労の開始を待たなければ、倉庫人材の受入れができないわけではありません。
現在運用されている技能実習制度の枠組みを活用することで、倉庫人材の受入れは今から開始することが可能です。
将来、育成就労や特定技能への移行を見据えた形で受入れを行うことで、
・早期に人材を確保できる
・現場で日本語や倉庫業務を育成しながら準備ができる
・制度開始後の切り替えをスムーズに進められる
といった効果が期待できます。
倉庫からの受入れを起点に、
・どのタイミングで
・どの制度を活用し
・どのようにドライバー登用へつなげていくか
は、企業様の業態や人員計画によって最適な形が大きく異なります。
弊社では、倉庫業務からの受入れを前提とした人材育成計画と、将来のドライバー登用までを見据えた運用設計を、企業様ごとに整理したうえでご提案しています。

今後、育成就労制度の開始をきっかけに、運送業・倉庫業界全体で外国人採用が一斉に進むことが想定されます。
その結果、海外の求職者側には日本企業の求人情報が同時期に数多く共有され、条件面、特に給与水準で比較される環境が、これまで以上に強まっていくと考えられます。
一方で、実際に海外人材が就職先を選ぶ際に重視しているのは、給与だけではありません。
・すでに同じ国出身の先輩社員が働いているか
・日本で安心して生活し、働ける環境があるか
・困った時に相談できる人が職場にいるか
といった点は、就職先選択において非常に大きな要素になります。
先行して外国人材を受け入れ、職場にロールモデルとなる先輩人材がいる企業は、
給与条件だけに依存せず、自社に合った人材と出会いやすい環境を整えることができます。
結果として、
・現場に定着しやすい人材を選びやすくなる
・中長期で育成し、戦力化できる人材を確保しやすくなる
という点は、早期に取り組む企業ならではの大きなメリットです。
また、
「まだ日本人採用で何とか回っている」
「本格的に人手不足になってから外国人採用を検討したい」
という企業様も少なくありません。
しかし、外国人材の受入れには、
・海外現地での募集・選考・事前教育期間
・在留資格申請に要する期間
が必要となり、人手が不足してから動き出しても、短期間で人材を確保することは現実的に困難です。
さらに、外国人材の活用を継続的に進めていくためには、
・現場での指導方法
・日本語レベルに配慮した教育体制
・将来的に外国人社員が外国人社員を育成・フォローできる体制
といった、社内の受入れ・育成の仕組みづくりが不可欠です。
こうした体制づくりは、現場に一定の余裕がある時期でなければ、試行錯誤しながら構築することが難しいのが実情です。
余裕のあるうちに仕組みを整えておくことで、将来的には教育コストや現場負担を抑えながら、安定した人材確保につなげることが可能になります。
「人手が足りている今」こそが、実は最も外国人採用に取り組みやすいタイミングでもあります。

弊社では、運送業・倉庫業向けに、外国人材活用を前提とした以下の支援を行っています。
・制度全体の整理・説明
・倉庫業務からの受入れを前提とした人材育成計画の設計
・将来のドライバー登用を見据えた運用設計
・採用計画・選考設計の支援
・日本語教育・物流基礎教育の仕組みづくり
・育成就労・特定技能・技能実習に関する在留資格手続きのサポート
「自社の場合、倉庫からの受入れはどこまで現実的なのか」
「どの制度ルートが最も無理なくドライバー登用につながるのか」
といった点について、企業様ごとの状況を踏まえた形で具体的にご案内しています。
倉庫業務からの外国人材受入れ、将来のドライバー人材の育成をご検討中の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。